2009 Fiscal Year Annual Research Report
ガラス材の再資源化を目指した多成分系ガラスに対する分相現象の解析と微細孔材の作製
Project/Area Number |
08J00805
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 賢紀 Osaka University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | スピノーダル分解 / 多成分系ガラス / スラグ / 微細孔ガラス / 自由エネルギー / 過冷却状態の液相 / ボロシリケート系酸化物 / 4配位状態のTi酸化物 |
Research Abstract |
金属精錬や都市ごみ焼却処理から生じるスラグの再資源化が近年課題とされている。本研究ではスラグからガラスの分相現象を利用した微細孔材料の創製を目指し、スラグ成分を含む多成分系ガラスに対して分相が生じる組成・温度域の予測ならびに分相を利用した微細孔材料の作製を試みている。これまでの研究では、SiO_2基の多成分系酸化物に対してガラスを過冷却状態の液相とみなし、分相が起こる組成・温度域を熱力学的手法によって予測した。さらに、スピノーダル分解の発現を予測したSiO_2基ガラス組成からSiO_2濃度の一部を酸溶液へ溶解し易いB_2O_3へ置換し、分相で生じた片方の相を除去することによって微細孔ガラスの作製も行った。 昨年度より、環境浄化機能を有する微細孔材料の創製を目指し、光触媒作用を示すTi酸化物を含む多成分系においてスピノーダル分相組織を有するガラスならびに微細孔ガラス作製の組成設計を試みてきた。本年度の研究では分相で生じたガラス相へのTi成分の分配挙動について実験的調査ならびに熱力学計算を行い、Ti酸化物が微細孔ガラスの骨格組織へ高濃度に含まれるためのガラス組成条件の検討を行った。B_2O_3濃度の異なる種々の組成のガラスについて分相で生じたガラス相へのTi成分の分配を実験的に調査した結果、Ti成分は2相のうちSiO_2濃度が低い相へ優先的に分配するが、ガラス中B_2O_3濃度が低い場合にはSiO_2濃度の高い相におけるTi成分の濃度は増加し、Ti酸化物をより高濃度に含む微細孔ガラスの作製に有利であることを見出した。また、分相で生じた2つのガラス相においてTi成分の添加量に対するTiO_2活量の熱力学計算を行った結果、TiO_2活量を固定した場合にはガラス相におけるSiO_2濃度が低いほどTi成分の固溶度は高いことが見出され、分相したガラスへのTi成分の分配挙動について本研究で得た実験結果に対応することがわかった。
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Research Products
(3 results)