2008 Fiscal Year Annual Research Report
p波対称性をもつ超流動状態への不純物効果の理論的研究
Project/Area Number |
08J00807
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青山 和司 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超流動^3He / エアロジェル / 異方性 / 渦 |
Research Abstract |
本研究は、エアロジェルと呼ばれるスポンジ状の多孔質媒質中における超流動^3Hの物性を研究対象としている。多くの実験はエアロジェル表面を^4Heで覆って行われているが、これはエアロジェル表面に吸着した固体^3He原子と超流動を担う^3Heとのスピンを介した磁気的相互作用を防ぐためであり、通常エアロジェルは非磁性不純物として扱える。この点に着目し、不純物散乱が磁気的であるかそうでないか、つまり^4Heでの覆いがあるかないかで相図にどのような変化があるかを調べた。^4Heの覆いがない場合にはA-like相の存在領域が広がることが分かり、これは実験で検証可能であると考えられる。また、一軸的な圧縮、伸張が加えられた異方的エアロジェル中の超流動相における渦構造の理論研究も行った。エアロジェルに外部から異方性を加えると、エアロジェル内の超流動相には異方的な対状態が出現しやすくなる。等方的なエアロジェル中のA-like相では渦中心はA-like相で構成されているが、同じ状況で、一軸伸張したエアロジェル中A-like相における渦の構造を調べると、渦中心にバルク中では現われない新奇なpolar対状態が出現することが分かった。このとき、渦中心におけるA-like相からpolar相への一次転移が期待される。ここで行われた理論手法はB-like相における渦にも拡張され、一軸圧縮したエアロジェル中B-like相における渦芯の転移はバルクとは顕著に異なる振る舞いを示すことが分かった。これら一軸異方性が誘起する渦芯転移は、今後実験で観測されるのではないかと期待している。
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Research Products
(8 results)