2009 Fiscal Year Annual Research Report
大環状π共役系分子二量体を有する光合成モデルの構築と光ダイナミクスの解明
Project/Area Number |
08J00808
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高井 淳朗 Osaka University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポルフィリン / 電子移動 / 多量体 / 光化学 / 光合成 |
Research Abstract |
ポルフィリン多量体は、天然の光合成において重要な役割を果たしているだけではなく、優れた電子ドナー・アクセプター複合体を構築するためのビルディングブロックとしての利用も注目されている。本年度は、昨年度行ったポルフィリン二量体を用いた研究をさらに拡張し、新規なポルフィリン三量体の合成、電子移動特性、および電子アクセプターであるフラーレン誘導体との複合体の形成について、詳細に検討を行った。ポルフィリン三量体の合成は、ブルゴーニュ大学(Dijon,FRANCE)にて行った。その結果、ポルフィリン三量体を電子移動酸化すると、近傍に存在するポルフィリン間で強く相互作用していることがわかった。さらにポルフィリン三量体はフラーレン誘導体と、ポルフィリン単量体に比べて非常に強く錯形成し、その錯体内で効率良く光誘起電子移動反応が進行することがわかった。これは、ポルフィリン間およびポルフィリンとフラーレンの間の非共有結合性相互作用(π-π相互作用)によって、光誘起電子移動反応の量子収率が向上したことを示している。以上のことから、このような非共有結合性相互作用は光合成系を模倣した電子ドナー・アクセプター複合体を構築する上で重要な役割を果たしていることがわかった。 これらの成果は、アメリカ化学会誌(J.Am.Chem.Soc.)のに掲載された。またブルゴーニュ大学への留学の他、アメリカやドイツなど海外の研究者とも積極的に交流を行っている。複数の国内学会および国際学会で口頭発表も行い、発表論文及び投稿中の論文を含め、今後のさらなる展開が期待される。
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Research Products
(5 results)