2009 Fiscal Year Annual Research Report
同時・継次処理過程における神経学的基盤の検討-ニューラルネットモデルを用いて-
Project/Area Number |
08J00839
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
奥畑 志帆 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 情報処理過程 / 同時処理 / 継次処理 / 脳波コヒーレンス / ニューラルネットワークモデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、健康な成人の情報処理過程中の脳波分析を行い、得られたコヒーレンスパターンに基づき、情報処理能力にアンバランスのある発達障害児者の課題遂行中のコヒーレンスパターンを検討することである。さらに、これにより発達障害児者の情報処理のアンバランスの機序を明らかにし、効果的な支援方法を提案することを目的とする。 本年度は、健常成人の実験実施のための実験刺激の検討と実験参加者のリクルート及び予備実験を行った後、実験及び認知検査を実施し、本研究における基礎的データとなる健常成人における情報処理過程の脳波コヒーレンスパターンの比較を行った。脳波計測は健常成人20名を対象とし、標準化された知能検査を元に作成した認知課題6課題を実施中の脳活動を測定した。用いた6課題は同時処理・継次処理の二つのカテゴリーに分類することができる。記録した脳波かち脳の皮質部位間の共働を表すコヒーレンス値を算出し、そのトポグラフィパターンを分析した。その結果、二つの異なる情報処理過程にそれぞれ特有のパターンが存在する可能性を示した。また同時処理過程においては、継次処理と比較して頭頂領域における半球間コヒーレンスが増大しており、その頭皮上パターンはLuria(1973)による脳の3機能単位仮説と一致した(Okuhata et al., 2009 ; International Journal of Psychophysiology)。また、脳波コヒーレンスパターンに関して脳波の発生源をふまえた検討の必要性を受け、発生源分析を実施し、頭皮上から得られたコヒーレンスパターンとの比較からその妥当性を検討した。本研究計画は継続中であり、発生源分析で得られた結果は、平成22年10月に開催される国際臨床神経整理学会にて発表予定である。
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Research Products
(1 results)