2009 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィリンジカチオンを基盤とした光機能性自己集積体の創製とその応用
Project/Area Number |
08J00841
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中西 達昭 Osaka University, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 光電子移動 / ポルフィリン / フラビン / ルイス酸 / スカンジウム |
Research Abstract |
光エネルギー変換を目的として、光励起により電荷分離状態を生成する電子ドナー・アクセプター連結分子の研究が近年盛んに行われている。ポルフィリンは可視領域に強い吸収帯を有する電子ドナーとして広く用いられる。一方、フラビン類は比較的高い電子受容性を有する複素環化合物である。本研究では、これらの分子を連結したポルフィリン-フラビン連結分子を合成した(MPor-F1(M=H_2,Zn,Pd))。ポルフィリンの中心金属及びフラビンと相互作用するルイス酸金属塩により電荷分離状態のエネルギーを制御し、その光電子移動ダイナミクスについて検討を行ったPdPor-F1は励起一重項から高速の項間交差により三重項励起状態が生成し、電荷分離はしなかった。しかし、スカンジウムイオンを添加すると、三重項励起状態から電荷分離状態を生成した。その電荷分離速度(Kcs)及び電荷再結合速度(K_<CR>)をそれぞれK_<CS>=4.4×10^3、K_<CR>=1.1×10^3s^<-1>と決定した。H_2Por-F1ではETが低いため電荷分離状態が生成した後にH2Porの三重項励起状態を生成する。その電荷分離及び電荷再結合速度定数をK_<CS>=1.2×10^<10>s^<-1>,K_<CR>=1.2×10^9s^<-1>と決定した。一方ZnPor-F1では電荷分離状態のエネルギーが低いためZnPor-F1の三重項励起状態は生成せず、電荷分離状態が生成して基底状態へと戻る。その速度定数は、K_<CS>=1.6×10^<11>s^<-1>、K_<CR>=6.5×10^<10>s^<-1>と決定した。光電荷分離を数種類の金属イオンを用いることで制御することに成功した。結果はJ.Phys.Chem.Bに投稿準備中である。
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Research Products
(3 results)