2008 Fiscal Year Annual Research Report
非一様ポテンシャルを持つフェルミ粒子多体系における量子相の競合
Project/Area Number |
08J00848
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 祐介 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 光格子 / 超流動 / 変分モンテカルロ法 |
Research Abstract |
非一様ポテンシャルに起因した興味深い物性が発見されており盛んに耕究されている。その代表的なものとして、冷却原子気体をレーザー光による格子ポテンシャル中に閉じ込めた光格子系が挙げらる。斥力相互作用するフェルミ原子光格子系に注目し、期待される空間変調した秩序状態を系統的に理解することを目的として研究を行った。 1.2次元光格子中の斥力相互作用するフェルミ粒子系において、金属-絶縁体クロスオーバーと、空間変調した反強磁性的な磁気秩序について解析を行った。ここでは、サイト間の密度相関効果を考慮した試行関数を用いて系を記述するHubbard模型の基底状態を調べた。その結果、局所粒子密度が<ni>~1.0となる領域において、サイト間相関効果により粒子が局在し、反強磁性的な磁気秩序が局所的に現れることを示した。 2.強い力相互作用の下での超流動状態について、梯子型光格子模型を用いて解析を行った。ここでは、トラップポテンシャルの影響による非一様性を考慮し、有効模型であるt-J模型に切断近似を用いて導出したBogoliubov-de Gennes方程式を解析した。この解析により、局所状態密度がピーク構造を持つ領域において、d波的な対称性を持つシングレットペアが強く形成されることが示された。加えて、変分モンテカルロ法を組み合わせることで、平均場近似では取り込めない二重占有状態の禁止の効果を厳密に取り扱うともに、d波超流動状態の不安定性について解析を行った。その結果、交換相互作用J>Jcで超流動状態が安定することが示唆された。また、局所エネルギーを詳細に評価することで、超流動状態においては、高密度<ni>~1.0の領域において重くなった粒子の交換相互作用によるエネルギー利得が重要であることを示唆した。
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Research Products
(4 results)