2008 Fiscal Year Annual Research Report
乳酸菌細胞表層提示システムの開発とバイオマスからのポリ乳酸原料生産への応用
Project/Area Number |
08J00860
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡野 憲司 Kobe University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | D-乳酸 / ポリ乳酸 / 木質系バイオマス / セルロース / Lactobacillus plantarum |
Research Abstract |
1.研究目的 化石資源の枯渇、地球温暖化を背景として、再生可能なバイオマス資源から生産できるプラスチックであるポリ乳酸が注目を集めている。ポリ乳酸の原料として従来のL-乳酸に加え、D-乳酸が、ポリ乳酸の高機能化のために注目されている。また、乳酸生産の原料としては、食料と競合しない木質系バイオマスの利用が期待されている。本研究では、木質系バイオマスから効率的にD-乳酸を生産する手法の開発を目的とした。 2.研究方法 既存のD-乳酸生産菌は遺伝子操作が困難であるため、バイオマス資化能の付与が難しい。そこで遺伝子操作が容易なD,L-乳酸生産菌であるLactobacillus plantarumのL-lactate dehydrogenase遺伝子を欠損させることで、遺伝子操作が可能なD-乳酸生産菌(ΔldhL1株)の創生を行った。次にΔldhL1株にバイオマス資可能の付与を試みた。木質バイオマスの主要成分であるセルロースを利用するため、創生したΔldhL1株にエンドグルカナーゼの発現を試みた。 3・研究成果 ΔldhL1株を用いてグルコースからの発酵実験を行った。その結果、本株は99.6%と非常に高い光学純度のD-乳酸を生産することが明らかとなった。また親株同様遺伝子操作が可能であることも明らかとなり、遺伝子操作が可能なD-乳酸生産株の取得に成功した。次に、本株にエンドグルカナーゼを発現させたところ、従来報告のないセロトリオース以上の鎖長を持つ、セロヘキサオースまでのセロオリゴ糖からのD-乳酸生産に成功した。更にβ-グルコシダーゼ(BGL)を添加することで、β-グルカンからのD-乳酸生産に成功した。今後はBGLを共発現させることや、乳酸菌の細胞表層に酵素を提示することで、セルロースからのより効率的なD-乳酸生産が期待できる。
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Research Products
(5 results)