2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゲージ/重力対応と行列模型の関係に基づく量子重力の非摂動的定式化
Project/Area Number |
08J00892
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畔柳 竜生 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 行列模型 / 超弦理論 / ブラックホール / ゲージ / 重力対応 / ラージNゲージ理論 / 量子重力 / D-brane / モンテカル口法 |
Research Abstract |
今年度は行列模型とケージ/重力対応に関する理解を深めるために、その両方について活発な研究を行った。まず行列模型については、ボゾン的IIB行列模型を用いて4次元非可換的時空上のボゾン的ゲージ理論を定式化することが困難であることを示した。この研究は場の理論的観点のみならず、行列模型の性質を理解する上でもきわめて重要と考えられる。一方で、ゲージ/重力対応の観点では、2007年に川合-須山により提唱された弦の世界面の立場に基づく解析を拡張し、より低次元のD-braneの場合にも同様な方法でゲージ/重力対応を理解できることを示すとともに、有限温度の場合にも拡張し、ブラックホールのエントロピーとゲージ理論側のエントロピーが一致することも比較的自明に理解できることを示した。これはゲージ/重力対応を本質的に理解するために極めて重要な結果である。また、ブラックホールのエントロピーに関しては、昨年秋にStromingerらにより提唱された事象の地平線の(極)近傍での漸近対称群を調べることでブラックホールのエントロピーを微視的に導出するという方法を用い、Kaluza-KleinブラックホールやD1-D5-P系として記述されるブラックホールのエントロピーを微視的に導出した。またゲージ/重力対応に基づいて一次元ラージNゲージ理論を数値的に解析し、ブラックホール/ブラックストリング相転移が起きる様子をゲージ理論側から視覚的に示すことに成功した。ブラックホールに対する微視的な立場からの理解は、量子重力の非摂動的定式化を実現するために最も本質的で重要な事項であり、それに関して理解を深めることができたことは来年度以降の研究につながる価値のある研究結果と考えられる。
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Research Products
(3 results)