2009 Fiscal Year Annual Research Report
ゲージ/重力対応と行列模型の関係に基づく量子重力の非摂動的定式化
Project/Area Number |
08J00892
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畔柳 竜生 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子重力 / ゲージ / 重力対応 / 行列模型 / 超弦理論 |
Research Abstract |
本年度はまずゲージ/重力対応がどの程度成り立つかを理解する目的で、非相対論的な対称性を持つ場の理論の重力双対として期待される重力解を調べた。特に未だ超弦理論に埋め込むことが実現されていない、(空間方向に)非等方的なスケール不変性を持つ場の理論の重力双対を、時空の計量部分については超弦理論に埋め込むことが可能であることを示し、その解の安定性といった諸性質を解析すると同時に、その重力側の解析を手掛かりに双対な場の理論に対する理解も試みた。完全な埋め込みは現時点でも実現しておらず、この方向性への研究はゲージ/重力対応をより一般的に理解するうえで重要であると考えられる。また、この非相対論的な対称性に着目してしてある種の重力理論が昨年提案されたが、そこで用いられた葉層構造を保つ微分同相変換を応用し、粘弾性体の普遍的な記述方法を提案した。これは重力理論において最も重要な役割を果たす微分同相変換の普遍性を理解するうえで有意義な成果である。これらの研究に加え、行列模型を用いた量子重力の非摂動的定式化を実現する際に重要な役割を果たすと期待されるラージN縮約に関しての基礎的な研究も行った。特に、80年代に提案されたラージN縮約模型のいくつかが近年の研究の結果機能しないことが明らかになり、その改善策として随伴表現のフェルミオンを加えた模型が昨年提案されたため、この模型でラージN縮約が成立することの解析的説明を与えるとともに、有限温度の場合への拡張およびその数値的解析を行った。有限温度の場合には、現時点では格子サイズは小さいものの、閉じ込め相転移がラージN縮約模型でも起こることを確認した。現在もその数値的解析を引き続き行っている。
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Research Products
(5 results)