2008 Fiscal Year Annual Research Report
非熱的X線撮像による系内宇宙線加速天体の探査と研究
Project/Area Number |
08J00907
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内山 秀樹 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | X線天文学 / パルサー風星雲 / X線検出器 |
Research Abstract |
X線天文衛星「すざく」搭載CCDカメラXISの新しいデータ補正法の開発、および、軌道上較正を行った。この結果は全世界の「すざく」ユーザーが利用する解析ソフトウェア、キャリブレーションデータベースとして現在公開されている。 また、「すざく」衛星を用いてTeVガンマ線未同定天体HESS J1825-137の観測、解析を行った。広がったTeVガンマ線天体HESS J1825-137は近傍のパルサーPSR J1826-1334が対応天体として考えられるものの、TeVガンマ線の放射中心から約10arcminと隔たっており、TeVガンマ線放射中心付近では有意なX線検出がないことが問題であった。我々は「すざく」XISによりパルサーからTeVガンマ線放射中心を越え、約15arcmin(〜17pc)に渡り伸びる非熱的X線パルサー風星雲(PWN)を初検出した。これは現在発見されている最も大きなX線PWNの一つの発見となる。TeVガンマ線とX線強度の信頼のおける比較から、それらの起源は単一のエネルギー分布にしたがう電子の、磁場7μG中でのシンクロトロン放射、宇宙背景マイクロ波放射との逆コンプトン散乱と考えられる。X線のベキは15arcminにわたりsofteningせず一定であった。これはパルサーが電子加速源とすると、その冷却時間1900yr以内に17pcに渡って8.8e3km/s以上の速度で輸送された可能性を示し、通常考えられる星間磁場中での拡散では説明できない。この結果は有力な宇宙線加速源候補と近年注目を浴びているPWN研究に新たな知見を加えるものである。
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Research Products
(8 results)