2009 Fiscal Year Annual Research Report
酸触媒によるジアゾ化合物を用いた新規合成手法の開拓
Project/Area Number |
08J00914
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永縄 友規 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ジアゾ化合物 / ルイス酸 / ジアステレオ選択的 / 不斉補助基 / アルデヒド / 速度論的安定 |
Research Abstract |
α-位に速度論的に安定な不斉中心を持つα-アルキル-β-ケトカルボニル化合物の合成はEvansらによるClaisen縮合を用いた例が1984年に初めて報告されている。これはリチウムエノラートに嵩高いオキサゾリジノン不斉補助基を組み込むことで適切な不斉環境のみならず、生成物の速度論的安定性をも同時に獲得している。 私は、ジアゾカルボニル化合物の有する独自の求核性に着眼し、その性質を利用した新規立体選択的有機反応の開発に取り組んでいる。今年度私は、Evansらの手法とは全く異なる手法として、ルイス酸により活性化されたアルデヒドへのα-置換-α-ジアゾカルボニル化合物の求核付加、及び脱窒素を伴うヒドリド転位によるα-アルキル-β-ケトカルボニル化合物の構築を試みた。この反応形式自体はRoskamp反応として1989年にはじめて報告されたものではあるが、それを不斉合成へと展開した報告はこれまでにない。私は本反応において適切な不斉補助基を導入することが不斉環境および生成物の安定性の両面において効果的なのではないかという考えに基づき検討を開始した。その結果、ホウ素ルイス酸存在下において、不斉補助基としてカンファーサルタムを導入したアルキルジアゾカルボニル化合物と芳香族及び脂肪族アルデヒドから高立体選択的にα-モノアルキル-β-ケトカルボニル化合物を構築でき、安定に単離できることを見出した。同法においてはEvansらの報告に較べて、より多様な光学活性α-アルキル-β-ケトカルボニル化合物を合成することに成功している。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article]2010
Author(s)
丸岡啓二、永縄友規
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Journal Title
「解説:光学活性β-ケトカルボニル化合物の合成」使える!有機合成反応241 実践ガイド(化学同人)
Pages: 258-259
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