2010 Fiscal Year Annual Research Report
酸触媒によるジアゾ化合物を用いた新規合成手法の開拓
Project/Area Number |
08J00914
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永縄 友規 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ジアゾ化合物 / ルイス酸 / 七員環 / ジアステレオ選択的 / エナンチオ選択的 / 転位 / 不斉反応 / 不斉補助基 |
Research Abstract |
ジアゾカルボニル化合物と環状ケトンとの酸触媒的反応は一炭素増炭した環状構造を与える基本的反応としてすでに知られている。しかしながら、同環拡大反応を複雑な構造を有する環状化合物の構築へと展開した例は限られていた。このような背景のもと、私は以前より同方法論に着目し、とりわけ天然物中に偏在する部分骨格である七員環構造の新しい立体選択的構築法を捻出すべく検討を続けている。(ref. J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 6614) 今年度まず私は、前年度までの研究においてその有効性が確認できていた樟脳スルタムを不斉補助基として導入したN-α-ジアゾアセチル樟脳スルタムを用いる六員環状ケトンのホウ素ルイス酸触媒的環拡大反応を試みた。結果、対応する光学活性な七員環β-ケトカルボニル化合物が極めて高いジアステレオ選択性で得られるということが分かった。また、嵩高い不斉補助基の導入は、β-ケトカルボニル化合物のα位水素のエピメリ化を防ぎ速度論的に安定な化合物として目的物を単離するために効果的であることが分かった。 続いて私は、未だ達成されていないキラルルイス酸触媒を用いたα位置換ジアゾ酢酸エステルと環状ケトンとのエナンチオ選択的環拡大反応への展開の検討を行った。各種のルイス酸およびキラル配位子の探索を行ったところ、トリメチルアルミニウムと3,3'-ビストリメチルシリルビナフトールとを2対1の割合で用い系中調製したキラルルイス酸が本環拡大反応に対して効果的であるということを見出した。また、4位に各種の置換基を有するシクロヘキサノンの本触媒を用いた環拡大反応は極めて高いジアステレオ選択的にて進行し、対応する複数の不斉点を有する七員環生成物を最大93%eeの選択性で与えた。
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Research Products
(3 results)