2008 Fiscal Year Annual Research Report
両親媒性フラーレンからなる二重膜ベシクルの表面化学修飾による物性制御
Project/Area Number |
08J00932
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本間 達也 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フラーレン / ベシクル / フルオラス / 水溶性 / 分子集合体 / 撥水膜 |
Research Abstract |
私は,本年度水溶性フラーレンからなる二重膜ベシクルの表面修飾について研究を行ってきた.中でも高度にフッ素化された五重付加型フラーレンが10g/Lという高濃度で水に溶解することを見いだした.この五重付加型フラーレンは疎水-親水-疎水という構造を持つ両親媒性の分子であり,既存の親水-疎水という構造をもつ両親媒性分子とは全く異なる.さらにその親水部は大きな疎水部の間に挟まれており,非常に水和をうけにくい構造をとっていると考えられる.このように,一見して疎水的であるこの分子が高濃度で水に溶解するという現象は興味深いのみならず,従来の両親媒性分子の概念を打ち砕いたと言う点で画期的である. また,動的光散乱ならびに静的光散乱の測定によって,この五重付加型フラーレンは水中で二重膜ベシクルを形成していることが明らかとなった.加えて,そのベシクルの表面はパーフルオロオクチル鎖で高度に覆われており,このベシクルは水中でフルオラスな環境を呈示しているものと考えられる.従来,高度にフッ素化された分子の水への溶解度は極めて低いことが知られており,このようなフルオラスな環境を水中で構築することは不可能であった.このフラーレンベシクルによって作られた,水中でのフルオラスな環境は新たな分子認識場や反応場としての応用が期待される.そこで,このフラーレンベシクル水溶液に対して,パーフルオロオクタンの抽出実験を行ったところ,純水に比べて,100万倍以上もパーフルオロオクタンを水溶化可能であるということを見いだした.さらに興味深いことに,このフラーレンベシクルは基板上に塗布可能であるほどの高い安定性を示すし,なおかつ高い撥水性を示すことが明らかとなり,新たな表面加工の手段としてのフラーレンベシクルの応用への道が拓かれた.
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Research Products
(4 results)