2008 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン応答性転写因子のDNA修復における機能的役割の解明
Project/Area Number |
08J00933
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉用 賢治 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 寿命 / DNA損傷 / フォークヘッド型転写因子 / FOXO1 / 転写因子複合体 / 翻訳後修飾 / 細胞周期 / DNA複製 |
Research Abstract |
寿命・老化研究のモデル生物である線虫を用いた遺伝学的解析から、フォークヘッド型転写因子DAF-16は線虫の寿命やDNA損傷応答を制御することが証明されている。DNA損傷応答機構は寿命・老化制御と密接に関係することが知られており、DAF-16によるDNA損傷応答の調節機構が寿命の長さに影響を与えている可能性が考えられるが、詳細は明らかにされていない。フォークヘッド型転写因子は線虫から哺乳類まで進化的に保存されており、ヒトではFOXO転写因子として知られ近年、寿命・老化研究分野において注目を集めている。本研究では、DNA損傷応答機構におけるヒトFOXO1の機能を明らかにすることを目的として検証を進めた。まずRNAi法によりヒト細胞のFOXO1の発現を抑制すると、細胞のDNA損傷耐性が低下しアポトーシスが高頻度で誘導された。このことからヒト細胞においてもFOXO1はDNA損傷応答に重要であることが示唆された。細胞周期同調法を用いて、FOXO1によるDNA損傷耐性の細胞周期依存性を検証したところ、FOXO1はDNA複製期におけるDNA損傷耐性に重要であることが明らかとなった。次にFOXO1によるDNA損傷耐性の分子メカニズムを明らかにするため、FOXO1の結合因子の同定を試みた。タンデムタグを付与したFOXO1を安定に発現するHeLa細胞から核抽出液を調製後、免疫沈降法によりFOXO1複合体を精製した。得られたFOXO1複合体をSDS-PAGEで分離後、質量分析装置を用いて結合因子を同定した。その結果、転写制御関連因子の他、DNA修復因子が多数含まれていた。これまで転写因子であると考えられてきたFOXO1がDNA修復因子と相互作用することで細胞のDNA損傷応答を制御しているとすればこの結果は非常に興味深い。現在はFOXO1とDNA修復因子との相互作用に注目して検証を進めている。
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Research Products
(3 results)