2010 Fiscal Year Annual Research Report
広視野MeVガンマ線カメラを用いた長期気球実験による銀河面探査
Project/Area Number |
08J00940
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒澤 俊介 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | MeVガンマ線イメージング / ガス検出器 / シンチレータ |
Research Abstract |
宇宙において放射されるガンマ線の多くはシンクロトロン放射など連続ガンマ線であるが、今までに撮像観測されてきた例はX線やTeVガンマ線など他の波長域に比べて少ない。ラインガンマ線の場合にはそのエネルギーのみを解析で使用するのでガンマ線バックグラウンドなどの除去が比較的容易であるが、連続ガンマ線の場合は難しく、イメージングが難しい。ここで、電子飛跡型コンプトンカメラは検出器内でコンプトン散乱を起こさせ、そこで生じる反跳電子および散乱ガンマ線の(3次元)方向とエネルギーを測定できるので、既存のカメラよりもバックグラウンドを抑えることができる。そこで電子飛跡型コンプトンカメラを開発し、連続ガンマ線のイメージング実証実験を行った。本実験は大阪大学核物理センターにおいて140MeVの陽子線ビームを使用して、水をターゲットにして、生じるガンマ線の撮像を行った。エネルギー帯を463-559keVおよび800-2000keVに分けて再構成したイメージでは、前者のほうが広がったイメージになった。これは511keV(電子陽電子対消滅線)の発生分布がブラッグピークと対応していないために生じるもので、一方後者は即発ガンマ線などが由来となっているガンマ線でブラッグピーク位置をトレースし、このイメージ分布はシミュレーションとも矛盾がなかった。この結果から、今までラインガンマ線のみしか行われてこなかったわれわれのカメラのイメージングについて、連続ガンマ線に対するイメージング能力も実証された。これによって、銀河面をはじめ多くの連続ガンマ線放射天体の位置同定といった撮像を行えることが期待できる。なお本実験において、コンプトンカメラのエネルギー測定範囲を今までの1.3MeVから2MeVまで上げることに成功した。
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Research Products
(9 results)