2009 Fiscal Year Annual Research Report
酵母フェロモン応答シグナルを用いたタンパク質間相互作用解析法の開発
Project/Area Number |
08J00945
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
福田 展雄 Kobe University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | タンパク質間相互作用 / 酵母 / 接合 / Gタンパク質 / 競合 / 結合定数 |
Research Abstract |
酵母の一倍体細胞であるa細胞、α細胞は互いにフェロモンを分泌し、これを感知すると二倍体a/α細胞を形成(接合)する。この接合を誘導するシグナルは細胞内のα、β、γから構成されるGタンパク質を介して下流へと伝達されていくが、γサブユニット(Gγ)の膜局在性が不可欠である。そこで遺伝子工学的にGγの膜結合部位を削除することでシグナルを欠失させたのち、タンパク質間相互作用を用いてこれを回復させる手法を考案した。本年度は接合を利用した相互作用のスクリーニング手法の確立を試みた。 本研究ではa細胞およびα細胞として、それぞれリジン合成細胞およびメチオニン合成細胞を選択し、a細胞に相互作用をフェロモン応答シグナルに変換するための遺伝子改変を加えた。ここでα細胞との共培養を行うと、タンパク質間の相互作用により接合能が回復したa細胞のみが二倍体を生成する。生成した二倍体は両アミノ酸を含まない選択培地により選別が可能であり、相互作用をスクリーニングすることができる。本研究では相互作用のモデルとしてprotein A由来のZドメインおよびヒトIgGのFc部位を選択し、これらを導入した酵母株を創製した結果、上述のように接合能の回復が確認された。 さらに本年度はタンパク質間の相互作用に対して競合タンパク質を導入することによって、結合強度の高い相互作用を選択的にスクリーニングするためのシステムの開発を行った。Fcとの結合定数がZよりも大きなZZを用意し、Zを競合タンパク質としてZZ-Fc間の相互作用を人工ライブラリからスクリーニングしたところ、ライブラリ中に0.01%しか存在しない微量の標的相互作用を効率的に選別できることが示された。本年度の研究により、接合を利用したタンパク質間相互作用のスクリーニング手法が確立され、さらに結合強度の高い相互作用を選択的に獲得することが可能となった。
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Research Products
(6 results)