2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト皮膚常在性ニキビ菌が持つ膜結合型亜硝酸還元酵素の構造と機能
Project/Area Number |
08J00964
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平 大輔 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 亜硝酸還元酵素 / 脱窒 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
銅型亜硝酸還元酵素(NIR)は脱窒菌が行う脱窒過程において、NO_2^-をNOに還元する反応を触媒する可溶性酵素である。メタノール資化性脱窒菌、H.denitrificansがもつNIR(HdNIR)については、近年X線結晶構造解析によりその新奇な立体構造が解明された。HdNIR単量体は、これまでに知られているNIRと類似した立体構造をもつ約35kDaの領域と、そのN-末端側に既知のNIRには見られない約14kDaの領域(N-末端領域)から成っており、既知のNIRが3量体であるのに対して、HdNIRは単量体6個が集合して6量体を形成していた。このように、自然界には未知の立体構造を有するNIRが存在しており、その構造・機能が徐々に明らかとなってきた。最近のゲノム解析の進展により、ニキビの原因菌であるPropionibacte rium acnesのゲノム中に、HdNIRのN-末端側にさらに膜貫通ヘリックスを有する未知の膜結合型NIRと考えられる遺伝子が発見された(PaNIR)。このような膜結合型のNIRはこれまでに研究例がなく、既知の可溶性NIRとは異なる特有な構造を持つことが予想される。そこで、(i)PaNIRの単離・精製、大腸菌による変異体の作製とそれらのキャラクタリゼーションと(ii)X線結晶構造解析により、PaNIRの分子構造を解明する計画である。本年度においてはPaNIRの大腸菌を用いた発現系の構築、さらに膜貫通ヘリックス部位を持たない変異体の発現系構築を行い、発現後各種カラムクロマトグラフィーにより精製したPaNIRのキャラクタリゼーションと結晶化を行った。これにより、膜貫通ヘリックス部位を持たない変異体に関してSPring-8における回折実験を経て、その立体構造を解明することが出来た。
|
Research Products
(6 results)