2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J00979
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金 永哲 Kyoto University, 大学院・ 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 関東軍 / 朝鮮総督府 / 鮮満拓殖会社 / 満鮮拓植会社 / 朝鮮人満洲移民 |
Research Abstract |
満洲における朝鮮人共産主義運動を解明するためには、運動主体の方針・綱領・組織および運動の経過を研究するのは重要な意義を有するが、その研究だけでは不充分で、まず、共産主義運動の主体的諸条件と客観的諸条件を明らかにしなければならない。そこで、中国と朝鮮両方の民族解放運動を同時に担われた在満朝鮮人共産主義者を生み出した客観的諸条件の一つである朝鮮人満洲移民過程を分析することは必ずしも無意義なことではないであろう。彼らの満洲における地域的分布、社会的地位、生業構造などの特徴を検討し、在満朝鮮人共産主義運動の客観的諸条件はいかに形成されたかを追究する。ところで、従来の朝鮮人満洲移民史研究は、主に「満洲事変」以前のものが多く、「満洲国」建国初期、つまり、1937年から本格的に始まる公的機関の斡旋による朝鮮人「集団移民」時期以前については、まだ解明していないところが多々ある。例えば、日本人の満洲農業移民計画は終始関東軍によって計画・実施されたが、朝鮮人満洲移民政策に対しては関東軍、朝鮮総督府、日本政府(拓務省、陸軍省、外務省など)の見解がしばしば不一致で、真のイニシアチブがどっちにあったかは不明である。報告者は本年度の研究を通して、建国初期における朝鮮人移民政策の立案過程と移民実施・助成施設である「鮮満拓殖会社」(日本政府法人)「満鮮拓植会社」(「満洲国」政府法人)設立過程を具体的に検討し、この時期の朝鮮人満洲移民計画案の主導者がどの機関であったか、どのような背景下で作成されたか、いかなる特質をもつ移民案であったかを解明したのである。これは在満朝鮮人共産主義運動を明らかにするための基礎的研究ともいえる。
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Research Products
(2 results)