2010 Fiscal Year Annual Research Report
二粒系コムギとタルホコムギの交雑個体でみられる生育不良に関する遺伝解析
Project/Area Number |
08J00983
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水野 信之 神戸大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | パンコムギ / ハイブリッドネクローシス / 茎頂分裂組織 / RNAi / 細胞分裂関連遺伝 / 病害抵抗性関連遺伝子 |
Research Abstract |
低温下でハイブリッドネクローシスを誘導し、成長が抑制される合成パンコムギ系統と、正常な生育を示す合成パンコムギ系統の茎頂分裂組織(SAM)を観察したところ、成長が抑制されている系統のSAMは正常な系統に比べ小さかった。in situ hybridization法を用いてHistone H4遺伝子の発現解析を行ったところ、成長が抑制される系統のSAM周辺ではHistone H4遺伝子の転写産物の蓄積がみられる細胞の数が、正常な生育系統に比べて少なかった。よって低温下で生長が抑制される系統ではSAMにおける細胞の分裂活性が低下していると考えられた。低温下で生長が抑制されている系統のクラウン組織で発現量が低下していた細胞分裂関連遺伝子について、シロイヌナズナホモログとしてMCM5やcyclin B1など5つの遺伝子を選抜し、これらの遺伝子の発現を抑制するためにRNAi用のコンストラクトを作製し,形質転換シロイヌナズナを作出した。このうちMCM5やcyclin B1,cyclin 2aのRNAiコンストラクトを導入した形質転換植物が得られた。これらの形質転換植物では、導入遺伝子の発現が低下しており、生長初期に幼苗が枯れるという表現型を示した。また、これらの形質転換植物ではPR-1遺伝子の発現が有意に増大しており、cyclin 2aのノックダウン系統ではPR-2やPR-5の発現も増加しており、細胞分裂関連遺伝子の発現抑制が病害抵抗性遺伝子の発現を増加させることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)