2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J00993
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
渡辺 有祐 The Graduate University for Advanced Studies, 複合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 確率伝搬法 / ビリーフプロパゲーション / ベーテ近似 / 誤り訂正符号 / グラフ多項式 / 離散幾何 |
Research Abstract |
グラフ構造をもった確率分布が与えられた時に、その規格化定数もしくは周辺確率分布を求める問題は、誤り訂正符号、音声認識、人工知能、最適化などに幅広く関係した、応用的にも数理的にも重要な問題である。とりわけLDPC符号などの誤り訂正符号はすでに実用化されていて、さらなる性能の改善が期待されている。 特に私は、グラフの幾何学的な構造と、計算の難しさの関係について着目し、研究を進めた。この関係の理解が深まれば、LDPC符号の性能改善の指針が得られることも期待できる。 そして、研究の結果「分配関数のループ展開公式」と呼ばれる公式を導出しか。この結果は残念ながら既にChertkov, Chernyakらによって、本質的に得られていたが、私の式は彼らとは少し違う表示をしていた。そのため、この展開公式に表れるある種の部分グラフの個数の評価など、いくつかの新しい結果が得られた。それについては論文「Loop Series Expansion with Propagation Diagrams(J.P.A:Math.Theor 2009)」にまとめた。 その後、この研究の発展として、ループ展開公式をグラフ多項式としてとらえることを考えた。そうすると、この多項式がContraction-Deletion関係式という関係式を満たすことを発見した。Tutte多項式など、グラフ理論においてよく興味をもたれる量がこの関係式を満たすことが知られている。この結果については来年度にまとめる予定である。
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Research Products
(4 results)