2008 Fiscal Year Annual Research Report
若手小学校教師の熟達への学習プロセスの分析と実践への応用
Project/Area Number |
08J00994
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
徳舛 克幸 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 小学校教師 / 学習 / 熟達 / 経験 / 認知的形跡 |
Research Abstract |
対象フィールドである横浜市内の小学校ヘボランティアとして実践に参加することを通し、定期的(週2〜3日)にフィールド・ワークを行った。具体的な調査方法は、新任教師2名を中心に授業を観察・ビデオ録画した。また、夏期休業中には自由記述式質問紙調査とインタビュー調査を了解いただいた担任教師全員に実施した。 フィールド・ワークと並行して、経験および経験からの学習概念について文献調査を進めた。研究会などを関催して、経験概念の精緻化と分析枠組みとしての有用性を検対した。 経験からの学習は従来、回顧的(語りや省察等)に扱われ、学習は経験がトリガーとなり引き起こされるという意味で、経験と学習は相互に不可分であるとされてきた。つまり、経験が学習に先んじて存在し、学習が後続するという固定的で文脈独立的な見方がされてきた。そして経験と学習(event and lesson)構造のセットを抽出することが目指されてきた(たとえば、松尾,2006;金井,2002;金井・古野,2001;Kolb,1984;Kolb&Kolb,2005:谷口;2006など)。しかし分析の結果、経験が所与で固定的に学習に先んじて存在するのではなく(したがって経験が学習を先導するのではなく)、経験と学習は相互に構成し合い、経験と学習は実践を語る、省察するという実践の中でその都度的に相互に(再)構成し合っていると考えられた。また、Cussins(1992)の認知的形跡(cognitive trails)論とこの経験概念を融合することで、実践語りの形跡を同定し追跡することで経験および経験からの学習を詳らかにできる分析装置となると考えられた。
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Research Products
(2 results)