2008 Fiscal Year Annual Research Report
常磁性プローブを用いたNMRによる高分子量蛋白質およびその複合体の構造生物学
Project/Area Number |
08J01000
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋尾 智英 Hokkaido University, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 常磁性ランタノイド / タンパク質立体構造 / NMR / Paramagnetic NMR / ランタノイド結合タグ / オートファジー / ホモダイマー / ZIP / p62 |
Research Abstract |
常磁性ランタノイドプローブをNMR立体構造解析に応用することで、NOE情報が不足しがちな高分子量タンパク質やその複合体の立体構造解析をより高い精度で行なうことが可能になる。しかし金属イオンを結合しない一般のタンパク質に対してランタノイドプローブを応用するためには、ランタノイドをタンパク質に対して強固に固定できるランタノイド結合タグを用いる必要がある。H20年度には、まずタンパク質に対するタグの運動性を最小限に抑えたランタノイド結合タグを開発し、その効果を検証した。これまでのタグはペプチド性のランタノイド結合タグ(LBT)をタンパク質表面のシステインとのS-S結合を介して固定化するという方式であったが、タグの運動性によりランタノイドからの常磁性効果が減弱してしまっていた。そこで、本研究では、LBTを対象タンパク質の2点て固定化する方式のタグを考案した。この2点固定化LBTを用いることによって、常磁性効果の一つであるRDCと、そこから求めた配向テンソルの値が増強され、ランタノイドがより強固に固定されていることが示された。2点固定化LBTを用いることによって、タンパク質に対するランタノイドのブレを最小限に抑え、より精度の高い立体構造情報が得られるようになると期待される。本研究ではさらに、この2点固定化LBTを実際のタンパク質立体構造解析へと応用することを試みた。対象タンパク質として、選択的オートファジーに関わる、ZIP PB1ドメインを選択した。ZIP PB1はホモダイマーの形成によってオートファジーの基質となるタンパク質の重合体を形成する役割を持ち、アルツハイマー病などの神経変性疾患に深く関わるタンパク質として近年注目を集めている。ZIP PB1に対してランタノイド結合タグを固定化するコンストラクトを設計・作成し、発現・精製系の確立を行なった。
|