2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内局在性水チャネルAQP11の2次元結晶化による構造解析
Project/Area Number |
08J01003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
舘 佳耶 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アクアポリン(AQP) / 膜タンパク質 / NPAモチーフ / 2次元結晶化 / 昆虫細胞 / リポソーム / ストップト・フロー / 阻害剤 |
Research Abstract |
1.結晶化条件の検討 すでに確立した方法でAQP11を精製し、透析ボタンを使用した透析法によって2次元結晶化作製を試みた。DMPCという脂質を使用した条件のいくつかにおいてシート状のベシクルを確認し、その電子顕微鏡写真のフーリエ変換像のうち数枚において、規則的な要素を示す回折点が弱いながらも見られた。しかしながら、(1)シートごとに回折点のパターン、逆格子のサイズなどがばらついており、均一な試料ではなかった。(2)AQPの結晶構造に特徴的な4回対称性が見られなかった。の二点から、構造解析には適さない条件と判断した。対称性が崩れていることから残留界面活性剤による影響も考えられるため、精製に使用する界面活性剤を含めて再検討する必要がある。 2.水透過活性の測定と阻害剤 2007年にAQP11が水を通すという結果を示す論文を発表したが、この論文では精製AQP11を再構成したリポソームを用いた。ところが別のグループから、アフリカツメガエルの卵子を用いた実験によりAQP11は水を通さないという結果が発表きれ、学会などで混乱が生じた。そこで、AQP11を強制発現させた細胞を破砕してベシクルを調整し、改めて活性測定を行ったところ、AQP11は水を透過するという結果を得た。また、NPCをNPAに戻した変異体についても透過活性測定を行ったところ、野生型AQP11に比べて低い活性を持つことが分かった。これによりRPAモチーフがNPCとなっていることがAQP11の水透過機能に重要であることが示唆された。 AQPファミリーの典型的阻害剤である水銀イオンは、AQP1のCys189に相当する位置にシステイン残基を持たないAQPには効かないという考え方が優勢であったが、これを持たないAQP4が水銀で阻害されるという論文が2008年に発表された。そこで、同じようにシステイン残基を持たないAQP11についても水銀イオンの効果を検討した。その結果、AQP11の水透過活性も水銀イオンによる阻害を受けることが分かった。今後は他の二価カチオンについても効果を検討する予定である。
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