2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内局在性水チャネルAQP11の2次元結晶化による構造解析
Project/Area Number |
08J01003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
舘 佳耶 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アクアポリン / 水透過性 / ストップトフロー / 水銀 / ホモロジーモデリング |
Research Abstract |
アクアポリンAQPは、水の過機能を担う水チャネルである。最近見つかった哺乳類の水チャネルAQP11は、細胞膜ではなく細胞内膜系に発現しており、AQP11ノックアウトマウスは腎臓の近位尿細管細胞内に肥大した小胞を生じて多嚢胞性腎症を発症して死に至ることから、細胞内オルガネラにおいて重要な機能を担っていると考えられる。 我々は過去に、AQP11を脂質膜に再構成したプロテオリポソームを用いた実験によりAQP11が水を透過するという結果を得た。しかし、アフリカツメガエルの卵母細胞を用いた他のグループの実験では、AQP11は水透過性を持たないとする結果が報告されている。リポソーム系では界面活性剤の影響が懸念され、卵母組胞系ではAQP11が細胞膜へ輸送されていない可能性があるというように、それぞれに技術的な問題を抱えていることもあり、AQP11の水透過性については議論が続いている。そこで、界面活性剤の影響の無い測定を行うために、細胞を破砕したベシクルを用いた実験系で水透過能についての測定を行った。まず、速い水透過能を有するAQP1とAQP4を用いて、細胞破砕ベシクルの測定系についての信頼性を評価した。AQP1またはAQP4を含むベシクルは、ネガティブコントロールと比較して20-30倍程度の速い水の透過を示し、AQP1とAQP4の可逆的な阻害剤であることが知られている水銀によって可逆的な水透過の低下が確認され、この実験系の信頼性が確定された。この系を用いてAQP11の水透過活性測定を行ったところ、AQP11を含むベシクルはネガティブコントロールよりも4倍程度速い透過を示した。はた、AQP11が水銀による可逆的な阻害を受けると共に、AQP1やAQP4を含むベシクルよりも水の透過速度は1オーダー遅いことも確認された。さうに、ホモロジーモデリングによって構築したAQP11の構造モデルにおいて、遅い水透過性を持つ水チャネルと類似の分子構造を持つことが見出された。以上の結果から、AQP11は遅い水透過能を有する水チャネルであると結論付けた。
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