2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経突起の伸長・縮退過程における細胞骨格系ダイナミクスの解析
Project/Area Number |
08J01004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
犬束 歩 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アクチン / ミオシン / 細胞骨格 / 神経科学 / 偏向 |
Research Abstract |
これまでの研究においては、プロテインホスファターゼ阻害剤であるカリキュリンA(CL-A)により神経突起が急激に縮退する現象を解析し、その縮退が微小管脱重合ではなくアクトミオシン活性化によるものであることを明らかにしてきた。偏光を用いることでアクチンフィラメントや微小管といった分子的配向性をもった細胞骨格を固定・染色することなくイメージングできるLC-PolScopeを用いた解析が本研究の大きな特色である。平成21年度の研究では、LC-PolScopeによるイメージングによって得られる分子配向性の情報を活用することに着手した。我々は、顕微鏡システムに技術的改良を加え、複屈折性の方向(slow axis)の情報を利用することで縮退過程における微小管の配向性を解析することに成功した。この結果、以前の論文で報告されていたようなCL-Aによる微小管の断片化とそれに伴う配向性の乱れは、縮退過程においてはまだ生じていないことが判明した。偏光を用いた分子配向性のイメージングは非常に例が少なく、光学的安定性が向上すれば神経突起の分岐形成などより生理的な解析対象への応用が考えられる。また、ミオシン軽鎖のリン酸化の関与をさらに調べるため、ミオシン軽鎖のリン酸化部位であるSer19とThr18をそれぞれAla残基に置換した変異体を作製した。このAA体ミオシン軽鎖を過剰発現させた神経細胞ではCL-Aによる神経突起の縮退がコントロールに比較して有意に阻害され、CL-Aが引き起こす急激な神経突起縮退におけるミオシン軽鎖のリン酸化の重要性が確認された。以上の実験成果は論文としてBiochemical and Biophysical Research Communications誌に掲載された。
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Research Products
(3 results)