2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経突起の伸長・縮退過程における細胞骨格系ダイナミクスの解析
Project/Area Number |
08J01004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
犬束 歩 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アクチン / ミオシン / 細胞骨格 / 神経科学 / 偏光 |
Research Abstract |
これまでの研究経過においては、プロテインボスファターゼ阻害剤であるカリキュリンA(CL-A)により神経突起が急激に縮退する現象を解析し、その縮退が微小管脱重合ではなくアクトミオシン活性化によるものであることを明らかにしてきた。偏光を用いることで分子的配向性をもった細胞骨格を固定・染色することなく検出できるLC-PolScopeを用いた解析が本研究の大きな特色である。平成20年度は以下のような進捗を得た。まず、高感度EMCCDを用いたEGFP-actinによる蛍光ライブイメージングを確立した。これにより神経突起縮退の主原因であるアクチン骨格を、退色や光毒性を極力抑えた状態で直接的に観察することが可能となった。この蛍光標識によるアクチン動態の解析は、偏光を用いた非侵襲的な観察法であるLC-PolScopeと相補的に細胞骨格の解析に寄与するものである。次に、ミトコンドリアの挙動を解析した。細胞内小器官の一つであるミトコンドリアの挙動を解析することで、アクチン細胞骨格の再編成により影響を受ける細胞内構造の様子がより鮮明に把握された。また、CL-Aによる神経突起の縮退が可逆的であることも明らかにした。さらに、各種阻害剤を用いた薬理実験によりPKCの関与を見出した。反発性ガイダンス因子による神経突起の縮退に関与がしばしば報告されるMLCKやRho kinaseとったキナーゼではなく、PKCがCL-Aによる神経突起縮退に関与していたという実験結果は意外性のあるものである。以上のような実験成果の一部は従来の研究成果と合わせてアメリカ細胞生物学会で発表された。また、その内容の論文化も進捗しており、数か月中にCell Motility and the Cytoskeleton誌に投稿予定である。
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Research Products
(1 results)