2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J01079
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
千田 雅隆 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Bloch-Kato予想 / 保型形式 / 岩澤理論 / Heegner cycle / p進L関数 / 志村曲線 / vanishing cycle / Selmer群 |
Research Abstract |
平成20年度は主に楕円保型形式に対する玉河数予想およびHilbert保型形式に付随するp進L関数の研究を行った。整数論の研究において、ゼータ関数やL関数が非常に重要な役割を果たすことが知られており、特にその整数点における特殊値は古くから研究されてきた。楕円曲線から定まるL関数の(関数等式の)中心点での零点の位数と楕円曲線の有理点のなす群(Mordell-Weil群)の階数との関係を予想したBirch,Swinnertor-Dyer予想はL関数の特殊値と数論的対象との関係を考察した有名な予想であるが、この予想は現在ではBloch-加藤による玉河数予想として、より一般の代数多様体の場合に定式化されている。玉河数予想によって保型形式のL関数の整数点における性質(零点の位数や特殊値など)は志村曲線や久賀-佐藤多様体の代数多様体のコホモロジーなどの数論的な情報と結びつくことが期待される。これらの予想を研究するために今年度はHeegnerサイクルの研究を行い、L関数の中心値とHeegnerサイクルの関係を与える明示的相互法則についての考察を行った。その結果、明示的相互法則を仮定すればBloch-加藤予想の一部が解決されることを証明した。特に保型L関数の中心値が消えていない場合に虚二次体の環類体上でSelmer群が有限となることを示した。weightの高い保型形式においては、従来の手法をを直接使うことができないが、今回の研究では消滅サイクルの理論を用いることで既存の結果を一般化することに成功した。二つ目の結果として、総実代数体上の楕円曲線に付随する反円分的p進L関数の中心点における一階微分値の研究を行い、Gross-Zagier公式の類似を証明した。これはBertolini-Darmonによる有理数体上の場合の結果の一般化である。
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