2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J01129
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 敦士 Hokkaido University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 民族言語学 / モン・クメール語族 / 雲南省 |
Research Abstract |
年度前半は現地へのアクセスが困難な雨期にあたるため、これまでの現地調査で得られた言語データの整理・分析作業に重点をおいた。ここでは、これまでの口承文芸資料に加え、日常会話資料の整理(文字おこし、データベース化)にも取り組んだ。このような口語テキストを集積することは、狭い意味での文法にとどまらない、言語運用までを視野に入れた研究の基礎となるものとしてきわめて重要である。 フィールドワークへの外的状況が整った2月後半、中国雲南省西南部において、北方モン・クメール系言語に対する調査を実施した。当初の計画では、中国とミャンマーとの国境付近に分布するワ語の変異体に対する調査をおこなう予定であったが、現地の政治情勢が思わしくなかったため、やむなく調査計画を変更し、タイ族や漢族と分布の重なる平野部において、パラウク・ワ語を母語とする若年層の言語動態の調査をおこなうことにした。調査は予備的なものであったが、これまで未報告の音声音韻的、語彙的な言語変容を確認することができた。これは今後動態的研究をすすめていくうえで、貴重な手掛かりになるものである。 なお、本年度は、北方モン・クメール系民族集団の生活文化誌を読み解くために、言語に反映された家禽家畜への認識体系についての論文を発表している(Shintaniとの共著)。これは、様々な分野の専門家からなる日本とタイとの国際共同研究(HCMR研究プロジェクト)において、言語学の知見を学際的に援用した成果として注目されている。
|
Research Products
(1 results)