2008 Fiscal Year Annual Research Report
p53による新たな癌抑制機構の解明-癌克服を目指して
Project/Area Number |
08J01131
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
川瀬 竜也 Tokyo University of Science, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | p53 / PHLDA3 |
Research Abstract |
癌抑制遺伝子p53による新たな癌抑制機構を解明することを目的とし、我々が同定した新規p53標的遺伝子PHLDA3の生理機能を解析したところ、PHLDA3は、癌遺伝子であり細胞生存シグナル伝達因子であるAktの抑制因子である事が明らかとなった。PHLDA3はp53によって発現が強く誘導されるタンパク質であるが、PHLDA3の発現は定常状態においても認められる。そこで、PHLDA3が定常状態においても癌抑制に寄与しているか検討した。その結果、PHLDA3の発現を抑制した細胞ではAktの活性化を介して、足場非依存性増殖が亢進することが示され、PHLDA3が定常状態においても癌抑制に寄与していることが明らかとなった。Aktは様々な癌細胞において異常な活性化が認められる癌遺伝子である。PHLDA3がAkt抑制因子であることから、PHLDA3が新たな癌抑制遺伝子である可能性が考えられた。そこで、癌患者の臨床サンプルにおいてPHLDA3遺伝子に異常が認められるか調べた。肺癌においてAktの異常な活性化が認められる症例報告が多数有ることから、肺癌サンプル(大細胞神経内分泌癌、カルチノイド腫瘍、腺癌、扁平上皮癌、小細胞癌、細気管支肺胞上皮癌)を用いてCGH解析を行ったところ、大細胞神経内分泌癌及びカルチノイド腫瘍においてPHLDA3遺伝子の高頻度なヘテロ接合性の消失(LOH)が認められた。さらに、このような腫瘍ではPHLDA3の発現量が顕著に低下していること、Aktが異常に活性化していることが明らかとなった。以上の結果からPHLDA3は新規癌抑制遺伝子である可能性が強く示された。また、Aktとの関連が深い内分泌腫瘍(大細胞神経内分泌癌、カルチノイド腫瘍)においてPHLDA3遺伝子の異常が認められることから、PHLDA3は内分泌腫瘍マーカーとして臨床応用できる可能性が示された。
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Research Products
(2 results)