2008 Fiscal Year Annual Research Report
光回復酵素の修復機構の解明とそれを利用した紫外線損傷DNA人工修復系の創成
Project/Area Number |
08J01148
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山元 淳平 Osaka University, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 紫外線損傷DNA / 光回復酵素 / 電子移動 |
Research Abstract |
地球上で生活を営む生物は太陽光を様々な生命現象に用いることで活動を続けることができる一方、遺伝情報の本質であるDNAは太陽光中に含まれる紫外線に晒されると化学構造の変化が誘発され、突然変異・癌化の一因となる。フラビン蛋白質の一種である光回復酵素は、太陽光中の短波長可視光を利用してDNA上に生成した紫外線損傷を認識し、光依存的電子移動により修復するユニークな酵素であり、様々な生物種で確認されている。しかし、ヒトはこの酵素を持っていないので、細胞中でこの酵素と同等の機能を有する低分子化合物を開発できれば、紫外線損傷修復系欠如由来の遺伝的疾患の改善、ひいては皮膚がん予防薬の創成が見込まれる。そこで、生体内で生成する化学構造を持った2本鎖中の紫外線損傷DNAの人工修復系の創成を最終目標とした上で、依然明らかになっていない光回復酵素の基質認識および反応機構について調べることを企図した。申請者は本年度の研究として、紫外線損傷DNAの中でも変異原性の高い、(6-4)光産物を修復できる(6-4)光回復酵素の反応機構を調べることを目的に、酵素-損傷間での水素結合に関与していると推定される窒素原子を同位体置換した(6-4)光産物を合成し、その窒素原子上における水素結合の可能性について調べた。その結果、予想よりも1pKaユニット分プロトン化が起こりにくいことを明らかにし、これまでに想定されていた反応機構から鑑みると、その損傷は修復されにくい性質を持っていることを明らかにした。この成果は雑誌論文に発表を行った。
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Research Products
(3 results)