2008 Fiscal Year Annual Research Report
七万気圧の高圧核磁気共鳴法開発及び酸化物圧力誘起超伝導体への適用
Project/Area Number |
08J01187
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久田 旭彦 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高圧 / 核磁気共鳴 / 酸化物圧力誘起超伝導体 / 電荷秩序 |
Research Abstract |
新しい超伝導状態が期待される酸化物圧力誘起超伝導体β-Ag_<0.33>V_2O_5の超伝導発現メカニズムの解明を目的として、以下の研究を実施した。 1.常圧における金属相、電荷秩序相、反強磁性相の電子講造と磁気構造の解明 常圧における^<51>V NMRスペクトルの解析により、高圧での超伝導発現メカニズムの概究につながる特異な電子構造を解明した。電荷秩序相の核四重極相互作用定数、及び反強磁姓相のゼロ磁場共鳴周波数の解析の結果、電荷秩序相において二つのバナジウム原子に共有された一つの電子が、反強磁性相においても共有されたまま磁気秩序化することが示された。これは、バナジウム酸化物において共有された電子の秩序化が観灘された初めての例である。さらに、金属相のNMRスペクトルの解析の結果、金属相においても電荷秩序相の電子構造を反映した二種類の独立な梯子構造からなる特異な電子構造をとることが示された。この電子構造は高圧においても維持されることが予想され、新奇超伝導発現機構解明のための重要な手掛かりとなる。 2.改良型ブリッジマンアンビル装置を用いた高圧下核磁気共鳴技術の開発 高圧下核磁気共鳴技術の開発においては、以下の進展が得られた。装置の最高到達圧力については申請時の2.5GPaから7.7GPaにまでひきあげることに成功した。また、核磁気共鳴測定に用いる際の圧力保持の問題にも取り組み、ピストンシリンダー型圧力装置の圧力保持方式を応用することでこれを可能にした。さらに、超伝導マグネット内で回転可能な小型ブリッジマン装置の開発を行った。装置の設計は改良型ブリッジマンアンビル装置の成果をもとに行い、この結果、装置の小型化に趣え圧力効率の向上にも成功した。今後はこれらの装置を用いて圧力誘起超伝導体β-Ag_<0.33>V_2O_5の高圧下核磁気共鳴測定を行い、超伝導発現メカニズムを解明する計画である。
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Research Products
(2 results)