2009 Fiscal Year Annual Research Report
構成的活性変異に注目した代謝型グルタミン酸受容体の構造・機能連関の解析
Project/Area Number |
08J01259
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柳川 正隆 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 代謝型グルタミン酸受容体 / G蛋白質共役型受容体 / 細胞内情報伝達 / Gタンパク質 / 構成的活性変異 |
Research Abstract |
代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)は我々の脳神経系においてシナプス伝達制御を担うGタンパク質共役型受容体(GPCR)であり、統合失調症やパーキンソン病などの精神疾患治療薬の標的としても注目されている。また、mGluRは常にホモ二量体を形成して機能するため、GPCRの二量体化の役割を解明する上でよいモデルとなっている。本研究では、構造的な知見の乏しいmGluRの膜貫通領域に注目し、活性化の分子機作の理解を目指す。本年度は研究計画に基づき、以下の二つの研究を行った。 (1)昨年度、mGluR8の構成的活性変異(CAM)を組み合わせた二重変異体解析から、mGluRの膜貫通領域において二量体のインターフェース領域を形成し、受容体の活性制御に関わる残基のひとつを推定した。本年度は、この残基と相互作用する残基を網羅的な二重変異体解析により探索、同定にすることに成功した。以上の解析から、ヘリックスVI-VII間の相互作用が、mGluRのアゴニスト依存的活性化に極めて重要な役割を果たしていることが明らかになった。 (2)mGluRに蛍光タンパク質を導入し蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を観測することで、活性化に伴う膜貫通領域の構造変化を解析した。mGluRの異なる3つのサブタイプ(mGluR1,mGluR3,mGluR8)の比較解析から、mGluRのすべての細胞質ループ領域に関する相対的距離情報を得ることに成功した。mGluR二量体において2つの細胞質第3ループ(i3)間の距離が他のループ間距離に比べ最も短く、i3によって繋がれるヘリックスVまたはVIが二量体のインターフェース領域を形成していることが示唆された。この結果は上記(1)の結果と上手く一致する。また、グルタミン酸結合に伴いFRET効率の増加が観測され、活性化時に二つの膜貫通領域が互いに近づくことが示された。
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Research Products
(4 results)