2010 Fiscal Year Annual Research Report
構成的活性変異に注目した代謝型グルタミン酸受容体の構造・機能連関の解析
Project/Area Number |
08J01259
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柳川 正隆 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 代謝型グルタミン酸受容体 / G蛋白質共役型受容体 / 細胞内情報伝達 / Gタンパク質 / 構成的活性化変異 |
Research Abstract |
代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)は我々の脳神経系においてシナプス伝達制御を担うGタンパク質共役型受容体(GPCR)であり、統合失調症やパーキンソン病をはじめとする神経疾患治療薬の標的としても注目されている。また、mGluRは常にホモ二量体を形成して機能するため、GPCRの二量体化の役割を解明する上でのモデル受容体となっている。本研究では、構造的な知見の乏しいmGluRの膜貫通領域に注目し、活性化の分子機作の理解を目指す。 本年度は研究計画に基づき、構成的活性化変異(CAM)を用いてmGluRの活性化と二量体配置転換の関係を解析した。CAMは受容体をリガンド非依存的に活性化する変異であり、その変異部位は受容体の活性化制御に重要な役割を果たすと考えられている。平成20年度に同定したCAMのうちのひとつは、高いリガンド非依存的な活性を示すとともに、生理的アゴニストであるグルタミン酸の添加により、その活性が低下するという興味深いフェノタイプを示した。すなわち、この変異体においてはグルタミン酸がインバースアゴニストとして機能するのである。このリガンドの薬理学的効果の反転が二量体配置に依拠しているのか、各プロトマーの構造に依拠しているのかを調べるために、このCAMに対して平成21年度に開発したFRETの測定系を用い、活性化に伴う細胞質第3ループ間の距離変化を観測した。その結果、このCAMにおいても野生型同様のグルタミン酸依存的なFRET効率の上昇が確認され、このCAMにより二量体配置転襖が逆転することはないということが判明した。したがって、リガンドの薬理学的効果反転は各プロトマーの構造変化に依拠して生じることが示唆され、mGluRの活性化において各プロトマーの構造が最終的には活性状態を規定するということが推測された。
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Research Products
(2 results)