2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規ユビキチンリガーゼによるエネルギー産生応答機構の解析
Project/Area Number |
08J01261
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
神代 理史 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | タンパク質分解 / ユビキチン化修飾 / エストロゲン / ES細胞 |
Research Abstract |
本研究員はユビキチンリガーゼと呼ばれるタンパク質の機能解析を行っている。ユビキチンリガーゼはユビキチンと呼ばれる低分子タンパク質を標的となるタンパク質に付加する活性を持っている。本研究員が研究しているユビキチンリガーゼNRDFは女性ホルモンであるエストロゲンの受容体であるエストロゲンレセプターに相互作用する因子として同定された。このNRDFのユビキチンリガーゼの活性を失わせた遺伝子型のマウスは母体での発生過程において発育が停止することから個体発生の過程において非常に重要な機能を持つことが予想されている。これはNRDFがエストロゲンのシグナル以外にも重要な経路にかかわっていることを示唆している。そこで本研究員はより詳細な解析のためにES細胞を用いてNRDFの機能について細胞レベルでの検討を進めている。現在までのところNRDF変異のES細胞は増殖が遅れることが明らかになっている。ES細胞において細胞増殖と分化の進行は非常に密接な関係にあることがこれまでの報告から明らかになっている。これらのことからNRDFはES細胞の未分化能や分化誘導時にも何らかの機能を有していることが予想される。またNRDFは細胞内のエネルギー生産の場であるミトコンドリアの活性に応答してその発現量が変動することが我々の研究から示唆されている。ことからNRDFは細胞内の代謝シグナルにも関与している可能性が考えられる。細胞内の代謝バランスの変化はメタボリックシンドロームの原因となるだけでなく、発がんやがんの悪性化にも深く関わっていることが報告されている。そこで本研究員はがんとNRDFの関係についても解析する実験系を構築中である。
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Research Products
(5 results)