2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規ユビキチンリガーゼによるエネルギー産生応答機構の解析
Project/Area Number |
08J01261
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
神代 理史 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | タンパク質分解 / ユビキチン化修飾 / エストロゲン / ES細胞 |
Research Abstract |
本研究員は現在新規ユビキチンリガーゼであるNRDFの生体内での機能を明らかにするために研究を進めている。これまでの研究からNRDFは女性ホルモンであるエストロゲンと結合し、活性化するエストロゲンレセプターα(ERα)と相互作用し、エストロゲン依存的なERαの転写活性を促進することを明らかにしている。さらに本研究員はNRDFの生体内での機能を明らかにするため、NRDFのユビキチンリガーゼ活性を欠失させたNRDF変異マウスを作製し解析を進めている。その解析の中でNRDF変異マウスは発生中期において発育の遅延を生じ胎生致死になることを見出した。さらにその表現系の解析を進めたところ、NRDF変異マウスは細胞周期の停止や胎盤との接合が不全であることが明らかとなった。さらに発生・分化におけるNRDFの機能を明らかにするためにするためにES細胞においてNRDFのユビキチンリガーゼ活性を欠失させたNRDF変異ES細胞を作成した。その結果NRDF変異ES細胞は野生型に比べて増殖の遅延が起きることを明らかとした。ES細胞において細胞増殖のスピードは分化と深く関わっていることが報告されていることから、NRDFがES細胞の分化能を制御している可能性が考えられた。そこで作成したES細胞に対して分化誘導実験を行った所、予想に反してNRDF変異ES細胞も野生型と同様に分化の誘導が起きる事が明らかとなった。この結果から、NRDFはES細胞の分化能ではなく、細胞周期そのものを制御していることが示唆された。今後はNRDFが細胞周期に与える影響をフローサイトメトリー法を用いて解析すること計画している。これらの研究により、機能未知の新規タンパク質の機能を明らかにするという学術的な知見と共に、近年再生医療分野での研究が盛んに行われているES細胞及びiPS細胞の応用研究に対する知見をもたらす事も期待される。
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Research Products
(3 results)