2008 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化と表面増強ラマン散乱を用いた高感度分析システムの開発
Project/Area Number |
08J01309
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平井 悠司 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自己組織化 / 表面増強ラマン散乱 / 高分子微細構造 / ハニカム状多孔質膜 / ピラー構造化膜 |
Research Abstract |
自己組織化と銀蒸着を利用することで簡便に作製される銀・高分子ハイブリッドピラー構造化膜を表面増強ラマン散乱基板として用いることで高感度分析システムの開発するため、銀の蒸着量を変化させて銀膜厚とそのラマン散乱の増強度の比較・最適化を行った。 ラマン散乱はプラズモン共鳴による電場増強により増強されているといわれている。プラズモン共鳴による電場増強は銀の膜厚により変化することから、高感度分析を可能とするには銀の膜厚の最適化が非常に重要な因子であるといえる。 Polystyreneと両親倍性高分子をクロロホルムに溶解させ、高湿度下でガラス基板上に塗布・製膜することでハニカム状多孔質膜を作製し、スコッチテープを用いて上面を剥離しピラー構造化膜を作製した。その後、ピラー構造化膜に銀を10Å/sで100-500秒間蒸着することで、銀の厚みの違う銀・高分子ハイブリッドピラー構造化膜を作製した。作製した基板を用いてそれぞれR6Gのラマン散乱を測定した結果、銀蒸着時間が長くなるほどラマン散乱も増強することが確認された。また、電界放出型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)とエネルギー分散型X線分光法(EDX)を用いてラマン散乱の増強サイトであると思われるピラー先端の各頂点付近の銀膜厚を測定した結果、銀の蒸着量に比例して、増強サイト付近の銀の膜厚も厚くなっていることが確認された。この時、500秒銀を蒸着したときの増強サイト付近の銀の膜厚は約50nm程度であった。約50nmという銀の膜厚はプラズモン共鳴を著しく増強させることができる厚みであり、ラマン散乱を増強させる上で最適な銀の膜厚であると考えられる。
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Research Products
(8 results)