2009 Fiscal Year Annual Research Report
規範の認知・感情的基盤と社会階層:経験抽出法と行動実験による検証
Project/Area Number |
08J01335
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
犬飼 佳吾 Hokkaido University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 社会経済的地位 / 経験抽出法 / 生態学的適応 |
Research Abstract |
本研究は、社会学・経済学・政治学などを中心に、社会科学全般領域において極めて重要な研究課題である社会階層研究に着目し、従来の社会階層研究において繰り返し指摘されてきた社会階層間で異なる「社会規範」や「道徳・倫理判断」について、心理学をはじめとする諸社会科学の知見を取り入れつつ生態学的適応の観点から、組織的な検討を試みるものである。この研究課題の実行にあたって、本研究では、これまで心理学で試みられてきた実験室による実験的検討に加え、社会調査的手法およびフィールドでの調査を有機的に組み合わせ、上述の研究課題を検討する。 平成21年度は主に、前年度に引き続き異なる社会経済的地位(Socio Economic Status)をもつ一般人参加者を対象とする調査実験を計画し実施した。具体的には、規範遵守傾向を組織的に検討するために、一般人参加者を対象として独裁者ゲーム、囚人のジレンマゲーム、信頼ゲームとよばれる複数の実験ゲーム(Camerer, 2003)を実施した。さらにこれらの研究を通じて、前年度に先の実験ゲーム実験と同一参加者を対象に行った日常生活の中での感情パタンとの関連を検討した。加えて、規範逸脱者に対して人々がどのような反応を示すかを検討するために、不公正是正行動を測定するために開発された最後通牒ゲーム、第三者罰実験とよばれる実験ゲームを実施し、実験間での行動の一貫性を検討した。これらの一連の調査・実験的知見をもとに、社会階層の再生産プロセスについて経済・社会・心理学的観点から、理論的な検討を行った。
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Research Products
(5 results)