2008 Fiscal Year Annual Research Report
癌抗原特異的T細胞を用いた新たな癌ワクチンの開発とその臨床応用
Project/Area Number |
08J01343
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大栗 敬幸 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ヘルパーT細胞 / 免疫細胞療法 |
Research Abstract |
1、1名の癌患者に樹状細胞を用いた臨床試験を行ない、末梢血液サンプルを用いて治療前後の免疫細胞の活性化状態を解析した。治療前サンプルでは細胞性免疫および、液性免疫どちらにおいても癌特異的免疫応答は見られなかった。一方、治療後サンプルでは治療回数に依存して癌抗原蛋白質に対する抗体価の上昇が認められ、さらにTh細胞による癌抗原特異的反応が確認された。このことから、今回の樹状細胞を用いた癌免疫療法は癌患者生体内で癌抗原特異的Th細胞を活性化、増殖させることが可能であるということが示唆された。 2、タイプ1免疫を作動させるTh1細胞を用いたTh1細胞療法の臨床試験を実用化するための基盤研究として、癌特異的ヒトTh1細胞の効率的な誘導方法の開発を行なった。Th1細胞を活性化するための抗原は多くの腫瘍に発現されているMAGE-A4分子由来のヘルパーペプチドを用いた。従来、Th1細胞を効率良く活性化するために樹状細胞が用いられてきた。しかし、この樹状細胞を樹立するには血液供与者から採血後、1週間の培養期間が必要であるため特異的Th1細胞の誘導期間が長くなるという短所があった。この問題点を克服するために末梢血単核球内に含まれる抗原提示細胞をタイプ1サイトカインであるIFN-γで処理することにより、樹状細胞を用いた場合と同様の効果的な癌特異的Th1細胞の誘導方法を確立した。この方法を用いることにより、癌患者から採血した当日から癌特異的Th1細胞の培養を開始することが可能となり、癌患者に対する治療をより早く実施することが可能となる。癌治療とは癌の増殖速度とも闘う必要かおるため、少しでも早く治療を開始することが重要となる。今回の検討で用いたペプチドのアミノ酸配列を含むヘルパーペプチドについてはGMP(good manufacturing practice)基準のペプチドが準備されたので、安全性を評価するために臨床試験の準備が始められている。
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Research Products
(4 results)