2008 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母における新規細胞質局在化RNAの局在化機構と生理的意義の解明
Project/Area Number |
08J01357
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
林 紗千子 Kumamoto University, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | RNA / 局在化 / 細胞質 / 出芽酵母 |
Research Abstract |
RNAの細胞内局在化は、遺伝子発現を空間的に制御するために不可欠な現象である。出芽酵母において、新規に同定したEGD1 mRNAは細胞質に大きく凝集した局在を示す。これまで、同様の局在様式を示す局在化RNAは知られておらず、EGD1 mRNAの局在化機構の解明を行うことで新たな局在化RNA像の確立を目指している。 今年度は、EGD1 mRNA局在化の生理的意義を明らかにするために、Egd1pと共に複合体を形成して機能しているEgd2pに着目した実験を行った。EGD1 mRNAと共にEGD2 mRNAを過剰発現させると、5'UTRを含めたEGD2 mRNAを共発現させた時にのみ、EGD1 mRNAの細胞質局在率が減少する可能性が考えられた。この時のEgd2p量を、抗Egd2p抗体を用いて調べた結果、5'UTRの有無によってEgd2p翻訳効率に差異が見られ、Egd2pが多く存在するとEGD1 mRNAの局在率が減少することが分かった。また、EGD1 mRNAの局在場所と既知の細胞小器官との関連性を探るために、ER、ペルオキシソーム、液胞、アクチンなどのマーカータンパク質にRFPが付加した株を用いて、EGD1 mRNAの局在の様子も調べた。その結果、調べたいずれの細胞小器官とも共局在しないことが分かった。 今後はEGD1 mRNAの局在化かEgd2pによってどのように制御されているのか、また具体的にEGD1 mRNAの局在がどのように構成、維持されているのかなど、さらなる局在化機構の解明を目指したい。本研究により、単なる時空間的な遺伝子発現調節だけでなく、タンパク質複合体形成調節という、RNA局在機構の新たな側面を開拓して行ければと考えている。
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Research Products
(3 results)