2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経科学への応用を目的とした高次相関を持つスパイク時系列群の作成と推定手法の開発
Project/Area Number |
08J01386
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
島崎 秀昭 The Institute of Physical and Chemical Research, Gruen研究ユニット, 特別研究員(PD)
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Keywords | ダイナミック・セルアセンブリ / 点過程 / スパイク相関解析 / 状態空間モデル / 一般化線形モデル / 情報幾何 / 赤池ベイズ情報量基準 / ベイス因子 |
Research Abstract |
平成21年度は、前年度に整備した状態空間モデルによる動的スパイク相関の推定手法を強化すべく以下二点の枠組みを構築し、擬似スパイク時系列データを用いてその有用性を検証した。(i)赤池ベイズ情報量基準(ABIC)によるモデル選択。提案する動的スパイク相関の状態空間モデルを用いれば、一般に高次を含むスパイク相関の変動を推定することができる。ここではモデルに組み込むべき適切な相関次数を選ぶためにABICを導入した。階層的な対数線形-状態空間モデル(レートモデル・二次相関モデル・高次相関モデル)について、周辺尤度を対数二次形式で近似することでABICを算出し比較を行った。(ii)ベイズ因子を用いたスパイク相関の逐次ベイズ仮説検定。スパイク相関(高次相関を含む)の有無を時々刻々検証するための枠組みとして、ベイズ因子を用いた逐次的ベイズ仮説検定の枠組みを構築した。ここで各時刻のベイズ因子は、注目する相関パラメータの事後分布の正・負の領域に対応する、観測された同期スパイクデータの尤度の比であり、濾波分布・一期先予測分布を用いて構成される。逐次ベイズ仮説検定により観測された同期スパイク発火が相関を有するか否かを逐次検定し、動的スパイク相関と外部信号(動物の行動)との関係を詳細に調べることが可能になった。これら二つの検証手法の構築により、細胞集団の動的な協調活動を検出し、動物の認知・行動に果たす役割を明らかにするための技術基盤が一層強化されたと考える。本年度はこれらの成果を踏まえて国内外の学会にて精力的に発表を行った。特に台湾で開催された国際学会IEEE ICASSP2009では神経信号処理の特別セッションにて招待講演を受けた。また日本神経回路学会第19回全国大会における発表は大会研究賞に選出された。
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Research Products
(9 results)