2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経科学への応用を目的とした高次相関を持つスパイク時系列群の作成と推定手法の開発
Project/Area Number |
08J01386
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
島崎 秀昭 独立行政法人理化学研究所, 統計神経科学研究チーム, 特別研究員(PD)
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Keywords | ダイナミック・セルアセンブリ / 点過程 / スパイク相関解析 / 状態空間モデル / 一般化線形モデル / 情報幾何 / 赤池ベイズ情報量基準 / ベイズ因子 |
Research Abstract |
平成22年度は,本研究で提案するスパイク相関の状態空間モデルに対して前年度に構築した2つの評価手法である(i)周辺尤度の近似解を用いた情報量基準によるモデル選択法,(ii)周辺尤度比(ベイズ因子)を用いた相関モデルの検定法,についてシミュレーションによる評価を行ないこれらの有用性を検証した.前者では実際に汎化誤差を数値計算により求め,複数の情報量基準と比較して赤池による情報量基準がもっとも妥当であることを確認した.後者では同期スパイクを生成する背後のスパイク相関モデルについて,周辺尤度比とサロゲート法と組み合わせることでデータからその存在を検定する枠組みを構築した.本手法では潜在変数であるスパイク相関の構造として対立する二つのモデル群を考え,観測スパイクデータに対する各々の周辺尤度の比を算出する.周辺尤度比の有意水準を決定し仮説検定を行うため,対象モデルの相関が存在しないという帰無仮説の下でリサンプリングされたサロゲートデータに対して周辺尤度比を算出した.サロゲートデータの作成は推定された状態空間モデルを低次元に射影したモデルを用いることで実現した.本手法により動物の行動に応じて現れると考えられるスパイク相関構造の検定を行うことが可能となった.一連の研究により,神経スパイクデータから細胞集団の動的な協調活動を検出し,動物の認知・行動に果たす役割を明らかにするための解析技術が実用段階に達したと考える.
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Research Products
(5 results)