2008 Fiscal Year Annual Research Report
タワー観測データと空間情報による生態系-大気間フラックスの広域評価に関する研究
Project/Area Number |
08J01393
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小野 圭介 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | フラックス / 広域評価 / プロセスモデル / 農業生態系 / 水田 / 土壌炭素動態 / リモートセンシング / 空間代表性 |
Research Abstract |
本年度は、CO_2フラックスを面的に評価するための基礎となる土壌-植生-大気伝達(SVAT)モデルの改良と空間情報の整備を行った。つくば市近郊の水田地帯で得られた複数年のタワー観測データ(2004〜2007年分)を解析し、生態系-大気間フラックスの年次変動について、総光合成量は日射量と日射の散乱成分の割合、生態系呼吸量は気温と地上部バイオマスの相違でほぼ説明できることを明らかにし、各々の関係を定式化した。この結果に基づいて、既存のSVATモデルを改良し、田面水が存在する期間についてはCO_2フラックスを精度良く推定できるようになった。しかし、田面水が存在しない中干しと落水の期間は、相対的に土壌微生物呼吸量(土壌有機物分解量)の影響が大きくなり、温度のみに依存して分解率が決まる従来のスキームでは対応できないことが明らかとなった。このため、多湿な水田土壌に適した有機物分解サブモデルの開発に着手した。このサブモデルの基本構造にはRoth-Cモデルを適用し、分解率の土壌水分依存性をより適切な関数型に置き換えた。一方、モデルを面的に適用するため、人工衛星・航空機リモートセンシングデータを用いてタワー周辺領域の植生指標と上地利用分布をデータベース化した。次年度は、これらを組み合わせ、タワー周辺領域のフラックスを連続的に推定し、タワー観測データの空間代表性を明らかにする。汎用性の高いSVATモデルがさらに多湿土壌にも適用可能となることで、水田を含む複雑な土地利用を持つ地表面の広域フラックスの評価において今後の発展が期待できる。
|
Research Products
(5 results)