2008 Fiscal Year Annual Research Report
南極サブミリ波望遠鏡銀河面サーベイによる星間物質進化の研究
Project/Area Number |
08J01410
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石井 峻 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | サブミリ波 / 銀河系 / 南極ドームふじ基地 |
Research Abstract |
南極サブミリ波望遠鏡は口径30cmの電波望遠鏡であり、南極ドームふじ基地にて銀河系内星間ガスを掃天観測すること目的としている。通常、サブミリ波帯の電磁波は大気中の水蒸気や酸素によって吸収を受けるため地上での観測が困難であるが、非常に乾燥し、かつ標高が高いドームふじ基地は高いサブミリ波透過率と期待され、すぐれた観測サイトであると考えられる。観測する500GHz帯(0.6mm帯)には高温・高密度領域を反映する一酸化炭素の高励起輝線CO(J=4-3)および、低密度領域を反映する中性炭素原子輝線[CI](^3P_1-^3P_0)が存在し、これらが我々の主要なターゲットである。この観測に星間ガスの温度・密度といった物理特性を推定し、原子・分子ガスから星形成に至る星間物質の進化過程を明らかにすることが本研究の目標である。 本年度は、南極30cm望遠鏡開発の最終段階として、実験室での組み上げと性能評価試験に集中して取り組んだ。具体的には光学系のビームパターン測定、望遠鏡システム全体での受信機性能測定を行い、初期の目標をおおむね達成していることを確認した。 その後、南極に先立ち冬季のスイス・アルプスにて望遠鏡の動作試験を行った。厳しい環境下での望遠鏡設置と冷却受信機の正常動作を確認し、受信機のアライメント調整および性能測定を行った。また、-25℃の低温下でのアンテナ駆動試験および、光学望遠鏡によるポインティング観測を行ない、観測に十分な追尾性能を実現していることを確かめた。また、水冷機構を追加することで高地向けに改良した分光計の正常動作の確認、受信機とアンテナを連動させた大気の光学的厚みの測定といった各種試験を実施し、良好な結果を得ることができた。
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