2008 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン構造による複製開始点の活性化制御機構の解明
Project/Area Number |
08J01415
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田積 充年 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 複製開始点 / DNA複製 / Sld3 / DDK |
Research Abstract |
真核生物の染色体には多数の複製開始点が存在しており、その活性化の制御は染色体機能や維持に重要である。しかし個々の複製開始点の活性化時期・頻度を決めている仕組みは未だ明らかになっていない。我々の研究室の解析により、分裂酵母染色体上でS期初期に活性化する初期複製開始点と後期に活性化あるいは受動的に複製される後期複製開始点が網羅的に同定された。これらの結果に基づき、私は染色体上の内部あるいは外部に活性化時期を決定するエレメントが存在するのではないかと考え、そのエレメントの同定を通して複製開始点の活性化時期制御機構を明らかにしようと考えている。 複製開始点を移動させて複製開始時期の変化を解析した結果、分裂酵母第二染色体上の初期複製開始点ars2004と後期複製開始点AT2088の位置を操作した場合、ars2004のS期初期の活性化がAT2088と隣接した時に抑制されることを発見した。さらにAT2088内部に部分欠失をつくり、隣接したars2004複製効率を定量的に測定した結果、AT2088内部の特定の領域(210bp)が近傍の複製開始点を抑制するために必要であることが明らかになった。この領域を除去したAT2088はS期初期に活性化したことから、この領域には後期複製開始点の決定要素が含まれている可能性が考えられる。複製開始反応のどの段階が制御されているかを明らかにするためにクロマチン免疫沈降(ChIP)法を用いて複製因子の結合過程を調べた結果、後期複製開始点では複製前複合体(pre-RC)活性化の最も上流に位置するSld3結合が大きく遅れることが明らかになった。興味深いことにAT2088に隣接した初期複製開始点arS2004でもSld3結合の遅延が見られた。このことから、DDK依存的なSld3結合段階が複製開始点の制御に重要であり、我々が見出した領域はSld3結合の抑制に必要であると考えられる。現在はこの制御機構の分子メカニズムの解明を目指してさらなる解析を行っている。
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Research Products
(2 results)