2009 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン構造による複製開始点の活性化制御機構の解明
Project/Area Number |
08J01415
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田積 充年 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 複製開始点 / 塩基配列 / Rif1 / Taz1 |
Research Abstract |
真核生物では染色体上の様々な領域に複製開始点が存在しており、染色体構造や機能と複製開始制御が互いにどのように連携するかは興味深い問題である。個々の複製開始点はS期の特定の時期に活性化することから、時間的・空間的な制御機構が存在すると考えられているが、その分子機構はほとんど明らかになっていない。当研究室の解析により、分裂酵母染色体上でS期初期に活性化する初期複製開始点と後期に活性化あるいは受動的に複製される後期複製開始点が網羅的に同定された。本研究では、初期/後期複製開始点の違いをもたらす要素の同定を通して複製開始点の活性化制御機構を明らかにすることを目的としている。 活性化を決定している要素が各開始点に特有のものなのか、それとも周囲の領域なのかを区別するため、初期複製開始点ars2004と後期複製開始点AT2088からARS活性をもつ断片を取り出して染色体上で移動させたところ、ars2004はAT2088と隣接したときに抑制された。さらにAT2088内部に部分欠失をつくり隣接したars2004の複製効率を定量的に測定した結果、AT2088内部の特定の25bp領域が抑制に必要であることが明らかになった。この領域を含む210bpの範囲を欠いたAT2088は本来の位置でS期初期に活性化したことから、開始点活性化の制御は塩基配列依存的な負の制御であると考えられる。興味深いことに上記の25bpにはテロメアリピート類似配列が含まれていた。当研究室のこれまでの解析でテロメア結合蛋白質Taz1やRif1の欠失時に後期複製開始点の複製早期化が見られていたことから、テロメア結合蛋白質が後期複製開始点抑制に関わっている可能性を想定した。rif1欠失株でAT2088がS期初期に活性化したことから、私はAT2088内部の抑制必須領域にテロメア結合蛋白質Taz1が直接結合し、開始反応を阻害しているのではないかと考えている。今後は開始点の制御とテロメア結合蛋白質との関係を明らかにしたい。
|
Research Products
(3 results)