2010 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン構造による複製開始点の活性化制御機構の解明
Project/Area Number |
08J01415
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田積 充年 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 分子生物学 / 複製開始点 / Taz1 / テロメア / Sld3 |
Research Abstract |
真核生物では染色体上の様々な領域に複製開始点が存在しており、染色体構造や機能と複製開始制御が互いにどのように影響するかは興味深い問題である。個々の複製開始点をS期の特定の時期に活性化させる時間的・空間的な複製開始制御が存在すると考えられるが、その分子機構は未だ明らかではない。 私は分裂酵母染色体の複製タイミングコントロールに関わる新規の塩基配列を発見した。後期複製開始点AT2088の近傍にS期初期での複製開始を抑制する領域を同定し、この仕組みに必要な塩基配列はテロメアリピート類似配列を含み、テロメア結合因子Taz1が配列依存的に結合していた。テロメアリピート類似配列は別の後期複製開始点AT2035の近傍にも存在し、S期初期での複製開始抑制に必要であった。taz1欠失株では複数の後期複製開始点の中でAT2088とAT2035が特異的にS期初期に活性化したことから、Taz1が染色体腕部のテロメアリピート類似配列に結合することが隣接する開始点のS期初期の活性化を抑制していると考えられる。興味深いことにtaz1欠失株ではサブテロメア領域の後期複製開始点もS期初期に活性化していた。このことからテロメアに存在するTaz1も複製の制御に関わっていると考えられる。さらに他のテロメア結合因子であるRif1やShelterin complexを構成するRap1, Poz1の欠失は、AT2088含む多数の後期複製開始点のS期初期での活性化を引き起こした。以上の結果から、テロメアとその結合因子が染色体上の広範囲の複製開始点を制御している可能性が示唆された。AT2088への複製因子の集合過程を解析した結果、S期でのpre-RC活性化の最上流のステップであるDDK依存的なSld3結合が起きていないが、テロメアリピートを塩基置換したAT2088ではSld3が結合した。以上の結果から、複製開始点近傍に結合したTaz1が、DDKもしくはSld3の機能や結合を妨げる仕組みを介して複製タイミングの制御に関与するのであろうと考えられる。
|
Research Products
(1 results)