2008 Fiscal Year Annual Research Report
サルモネラ感染におけるToll-like receptors依存性生体防御機構の解析
Project/Area Number |
08J01477
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河本 新平 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | IgA / パイエル板 / 胚中心 / 制御性T細胞 / 濾胞性ヘルパーT細胞 |
Research Abstract |
腸管IgAは、腸管内における常在菌の菌体制御に関与しているだけでなく、サルモネラなどの病原菌に対する防御機構においても重要な役割を果たしている。こうした病原菌防御に重要な抗原特異的なIgAは、主にパイエル板においてCD4^+T細胞依存性に産生されるという事が知られているが、このIgA産生機構にT細胞がどのように関与しているのかについて不明な点が多い。そこで、パイエル板でのIgA産生におけるCD4^+T細胞の役割を調べるため、CD4^+T細胞の主要なサブセットであるT_H17細胞とFoxp3^+の制御性T細胞をRorγt-GFPノックインマウス、Foxp3-GFPノックインマウスよりそれぞれ単離し、T細胞をもたないCD3ε欠損マウスに移入した。まず、病原菌を感染させていない状態でこれらのT細胞を移入したマウスを観察したところ、非常に驚いた事にFoxp3^+の制御性T細胞を移入したマウスのパイエル板では胚中心が非常に効率良く形成されたが、Foxp3^-のT細胞やT_H17細胞を移入したマウスのパイエル板では胚中心の形成は観察することができなかった。さらにFoxp3^+T細胞移入マウスの詳細な解析を行ったところ、移入細胞の大部分が制御性T細胞の主要な転写因子であるFoxp3の発現を失い、胚中心の内部へと移動し、胚中心内部においてB細胞を補助すると考えられている濾胞性ヘルパーT細胞へと分化することで、腸管特異的にパイエル板において胚中心を誘導し、IgAの産生に関与していることが明らかとなった。 以上の結果より、制御性T細胞は腸管においてこれまで考えられていたような単なる免疫抑制として働いているだけでなく、腸管IgA産生を介して腸管内の恒常性維持に関与していることが示された。
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