2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J01498
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
西本 一恵 Tokyo University of Science, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 相転移 / 透過型電子顕微鏡 / 準結晶 / 近似結晶 / 電子線回折 |
Research Abstract |
Cd_6Ca,Cd_6YbなどのTsai型正20面体クラスター固体に発見された相転移は、クラスター中心の原子群の配向の規則-不規則化による新しいタイプの規則-不規則相転移のであると考えられている。本研究ではTsai型やそれ以外の正20面体クラスター固体一般において相転移の検出及び相転移機構の解明を行うことを目的とした。 まず、室温でクラスター中心に配向の規則化した4面体を有するTsai型規則相での高温相転移の検出をおこなった。今まで対象にしていたCd_6Eu,Cd_6Ceに加え、Ag-In-(Eu,Ce)近似結晶の高温TEM観察を行い、報告されているすべての規則相において、4面体の規則-不規則相転移の検証を行った。高温で一部の回折点が可逆的に生成消滅する様子を観察したところ、それらが高温でbccに構造相転移を起こすことが分かった。またbcc構造であることは、クラスター中心の4面体が不規則化していることを示唆している。この結果は実際に4面体の規則-不規則化か生じることを初めて積極的に示唆するものである。また低温TEM観察により、不規則相であるCd_6M(M=Nd,Gd,Tb)が低温で2倍の単位胞を有するC底心単斜晶に構造相転移を起こすことが分かった。また電気抵抗率測定により、M原子の原子半径が大きいものほど転移点が上昇する傾向が得られた。以上より、本相転移がTsai型正20面体クラスター固体に共通した現象であること、転移点が4面体の空隙の大きさに大きく影響することを明らかにした。
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Research Products
(5 results)