2008 Fiscal Year Annual Research Report
アモルファス酸化チタンの特異的な表面構造と水溶液中における光反応メカニズムの解明
Project/Area Number |
08J01509
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻 悦司 Osaka University, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | アモルファス / 電気化学 / 表面化学 / TiO_2 / RuO_2 / 赤外吸収分光法 |
Research Abstract |
これまで単結晶や多結晶のTiO_2に関しては、本多・藤嶋効果の発見から、非常に数多くの研究が行われてきた。一方、アモルファスTiO_2に関してはバルクに存在するダングリングボンドや構造欠陥などが、再結合中心として働いてしまうために不活性であると考えられ、その光電気化学特性について深く研究されることはなかった。しかし、表面構造化学の観点から見れば、必ずしもそうであるとは限らない。実際に申請者は作製条件を工夫することで、光水分解活性のあるアモルファスTiO_2の作製に成功している。本研究では、アモルファスと結晶との表面構造の違いが光触媒活性にどのような影響を与えるかについて明らかにすることを目的とする。 本年度は、触媒活性、特に過電圧に注目し研究を進めた。アモルファスTiO_2を用いると上述したように、どうしてもバルク内での再結合が起こってしまい、表面構造のみの触媒活性への寄与を評価することが難しい。そこで、まずはTiO_2と同じルチル型結晶構造を持ち、現在最も高活性な酸素発生電極触媒の一つであるRuO_2について、アモルファス構造のものとルチル型構造のものを作製し、これらの水の電気分解による酸素発生触媒活性を比較、検討した。その結果、アモルファスRuO_2の方がルチル型RuO_2よりも水の電気分解反応に対する過電圧が小さく、高活性であることを見出した。 次に、アモルファス表面での反応を評価するには、表面で生成される反応中間体を電気化学測定条件下で検出することが必要である。その検出方法として、もっとも有用な測定手法の1つにin-situ FTIRが挙げられる。そこで、この手法について世界的な権威であるGuelph大学のLipkowski教授のもとで、本測定法の習得、及びルチル型TiO_2電極のin-situ測定を行った。これにより、今後、本手法をアモルファスTiO_2に用いることで反応中間体を検出する見通しができたこととなる。
|
Research Products
(2 results)