2008 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー変換システムにおける固体内及び界面での物質輸送
Project/Area Number |
08J01529
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宇根本 篤 Tohoku University, 大学院・環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | モナザイト / セリウムリン酸塩 / プロトン / 正孔 / 混合導電 / 表面反応 / 水素分離 / 水素透過 |
Research Abstract |
プロトン-電子混合伝導性セラミクスは、高温電気化学デバイス用電極材料やガス分離膜としての応用が期待される。本研究では、高温水素分離膜への応用を念頭に(Ce,Sr)PO_4を合成し、導電率と水素透過能を評価した。これまでの報告では、湿潤水素雰囲気にてプロトン-ホール混合導電性を示す材料は一部のペロブスカイト型酸化物に限られていた。しかしながら、これらの酸化物は主構成元素であるアルカリ土類金属と炭酸ガスや水蒸気との安定性が懸念されていたため、アルカリ土類金属を主構成元素として含まない混合伝導体の開発が急務であった。CePO_4ではCe^<3+>の一部を低原子価カチオンのSr^<2+>で置換することにより、格子間プロトン欠陥が導入される。一方で、Ceイオンは3価と4価の混合原子価になり、電子欠陥(正孔)が導入される。これは、電気導電率の水蒸気分圧依存性と酸素分圧依存性が、欠陥平衡モデルから予想される依存性を示していたことから確認した。さらに、電気導電率のガス分圧依存性から部分導電率を分離して評価した。この結果、例えば900℃、湿潤水素雰囲気において、プロトン導電率とホール導電率の全導電率に対する寄与は同程度であり、これより低い温度では、プロトン導電の寄与が主となることが分かった。水素透過実験からは、非ペロブスカイト型セラミクスとしては初めて、アンバイポーラ拡散機構による水素透過を確認した。パラジウムや白金を表面触媒として担持させた場合、透過水素流量が大幅に増加したが、両触媒間では明確な差異は見られなかった。いずれのケースについても表面反応の寄与が大きいことを示唆された。また、(Ce,Sr)PO_4の水素透過能は既報のペロブスカイト型酸化物のものと同程度であることがわかった。
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Research Products
(5 results)